刀をはね返した力持ち鬼の勘七
どんな伝承か
片門に鬼の勘七という力持ちがいた。片門は越後街道の要駅で、新発田の殿様が村西の上野原を通りかかった時、柴を積んだ馬と行き会って馬子が立ちすくんだ。勘七は馬の腹の下にもぐり、柴をつけたまま馬をかつぎ上げて道の脇へ寄せたので、行列は無事に通り過ぎた。殿様は召し抱えたいと言ったが、勘七は窮屈な勤めは嫌だと断った。ある時、村中でけんかした飛脚二人の首をつかんで左右に分けたところ、力が強すぎて二人とも目玉が飛び出して死んだ。勘七は召し捕られ、若松の薬師堂河原で斬首されたが、大刀は首からはね返り、二太刀三太刀を要したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。