弾けた小柴に打たれた大猿
どんな伝承か
五右衛門というカンジキ作りの爺がいた。いつものように山でカンジキをこしらえていると、五右衛門五右衛門と呼びながら大きな猿が火のそばへやって来た。爺が寒いからあたれと言うと、猿は火に寄って持ち前の睾丸を出して温まり、気持ちがよくなってそろそろと広げ出した。爺はこの野郎いつもの癖を出したなと思い、曲げていたカンジキの手を不意に放すと、強い小柴が弾けて猿の睾丸に当たった。猿はあっと言って引っ繰り返り、そのまま死んでしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。