嬰児籠の太郎と生針の奇跡
どんな伝承か
日本のテンポという看板を掲げた男の家へ、唐のテンポが法螺吹き比べに訪ねて来た。留守を預かる十歳ばかりの子が嬰児籠の中から、父は富士山が倒れると言い母は海の底が抜けると言って走ったと答え、寺の釣鐘の話まで大法螺で返したので、唐のテンポは閉口して帰った。ところが父はそれを大それた偽言と怒り、子を盥に乗せて海へ流した。太郎は持ち出した生針で犬猫の死骸を蘇らせ、続いて長者の死んだ娘も生き返らせて、その婿となった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。