天狗の囃子で瘤を取られた爺
どんな伝承か
額に拳ほどの瘤のある爺が二人いた。見苦しいので取ってもらおうと山奥の神に願をかけ、夜籠りをしていると、真夜中に囃子の音がして、丈六尺の赤ら顔の鼻高どもが四五人連れで社に入って来た。天狗どもは囃すばかりで舞い手がなく、互いに舞を勧め合ったが、舞える者がいなかった。そこへ隠れていた爺が引き出されて舞い、天狗たちは大いに喜んだ。また来るしるしにと爺の瘤が取られたと語られる、和賀郡黒沢尻あたりに伝わる瘤取りの話である。
原典より
昔或る所に額に拳ほどの瘤のある爺が二人あつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。