地蔵に化けて猿を欺いた爺
どんな伝承か
子のない貧しい爺と婆が畑に麦や粟を作っていたが、実らぬうちに山の猿や兎に食われてしまい、どう工夫しても追えなかった。そこで爺は婆に白餅をこしらえさせ、裸になって体中に塗りつけ、地蔵のような真似をして畑の傍らに座って番をした。猿どもは見慣れぬ地蔵だと言って手を組み合わせ、爺を乗せて歌いながら川を越し、体が傾くたびに千両箱を当てがった。御堂に置いて猿が戻った隙に、爺は千両箱を二つ担いで帰り長者となった。真似をした隣の爺は川へ落とされた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・大正・昭和(東北民俗))
『遠野物語』の語り手・佐々木喜善が大正昭和期に郷里岩手で採集した東北の昔話・伝説の集成。冒頭の『奥州のザシキワラシの話』では、旧家の座敷に出没し家の盛衰を司るザシキワラシの諸相を集める。『江刺郡昔話』『紫波郡昔話』に続き、『東奥異聞』では不思議な縁女の話・黄金の牛・磐司磐三郎・千曳石・赤子抱き・偽汽車など奇譚を収める。