針で父の敵を討った盲目の検校
どんな伝承か
立木の寺内に、桝取りのたいそう巧みな男がいた。この男が桝で米を量ると必ず余りが出て、それが儲けになった。やがてお上の耳に入り、不届き者として殺されてしまう。縁の下に隠れて父の最期を聞いていた息子は、嘆きのあまり目が見えなくなった。盲いた少年は生きるすべにと船橋の名人へ弟子入りして鍼灸を学び、何年かのちには自らも検校の位を許された。布川の旧家白井家を借りて出張の治療を始めると評判を呼び、詰めかけた客の中に父を殺した役人が混じっていた。針の名人がねらう急所を外すはずもなく、こうして敵は討たれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。