大金を懐に息絶えた尼の供養石
どんな伝承か
天明の飢饉のとき、ひとりの尼が中谷の菊地ブンニモどんの家に一夜の宿を求めた。今夜食べる飯もないと断ったが、水さえ飲ませてもらえればよいと言うので泊めてやった。ところが尼はその晩眠り込んだきり、朝になっても起きてこなかった。気の毒に思って身なりを改めると、懐には大金が入っていた。金があっても飯の買えない飢饉だったのである。飢饉が去ると、ブンニモどんはその金で供養の石を伏見屋土手の南に建てた。昭和八、九年ごろ土手が県道になる際に石は無量寺へ移されたが、沼の岸に置いたため落ち込んだらしく、今は探しても見つからない。
原典より
どこの人か、かわいそうにと、からだを改めるとふところに大金がはいっていたそうである。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。