元旦のこじき殺しと門松のない正月
どんな伝承か
高尾では正月に門松を立てない家が多い。ほかの土地では松の杭に竹笹を結びつけて飾るものだが、この地区ではそれをしない。言い伝えによれば、昔ある家に物乞いが訪ねてきたとき、家の者がその竹笹で相手を打ち殺してしまった。それが元日の出来事だったため、以来この家では正月の飾りを立てなくなったという。同じような家例は下石戸下や北中丸にもある。近くには、先祖が餅をついている最中に訪れた物乞いを門松で殴り殺し、それ以来、正月に餅をつかず門松も立てないという家も伝わっている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北本市史 第6巻(民俗編)――伝説(北本市(編)・北本市史)
『北本市史 第6巻(民俗編)――伝説』は、北本市の市史民俗編のうち、第十一章「伝説・世間話・昔話・諺」の冒頭部分である。章の「はじめに」で四者の性格を説いたのち、第一節「伝説」に蒲桜・龍灯杉・一夜堤や多くの塚の伝承、送りオオカミ・河童・禁忌動物、おたきあげ・十日夜の由来など四十二項目を収める。多くの項目は見出しに石戸宿・高尾などの伝承地を添え、話者名や「埼玉県伝説集成」などの出典を▽で示す。(197字)