大熊とモミの枝の門松代わり
どんな伝承か
秩父郡大滝村大滝の滝ノ沢に住む黒沢姓の家々は、いずれも正月に門松を立てず、代わりにモミの木の枝を飾る。昔、先祖が不況で年越しもままならぬ折、猟に出て大熊を仕留めた。モミの枝を組んで柴ゾリを作り、熊を載せて運び帰ったが、すでに夜になっていて門松を伐りに行けなかった。やむなくモミの木を立てて年を越すと、翌年から運が向いてきたという。それ以来、一族はモミの枝を門松の代わりにしていると伝わる。
原典より
秩父郡大滝村大滝の滝ノ沢の黒沢姓の家は、みな門松をたてず、モミの木の枝をたてている。—— 武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
武蔵の伝説(大島建彦/渡辺千佳子・日本の伝説・1976年(昭和51年))
『武蔵の伝説』は、大島建彦と渡辺千佳子が昭和五十一年に著した伝説集である。埼玉県・東京都と神奈川県の一部にあたる旧武蔵国の伝説を、地誌・紀行・社寺縁起・区市史や『埼玉県伝説集成』などの文献と土地の口碑から集め、項目ごとに出典を添える。『日本伝説名彙』の六部門に家・村と祭礼・行事を加えた八部に分け、巻頭の「はじめに」で伝説の分類の方法を論じている。