神の化身とされた秩父三峯社の狼
どんな伝承か
名のある社にはたいてい神の使いとされる動物が決まっている。八幡の鳩、春日の鹿、日吉の猿などがよく知られるが、著者によれば、稲荷の狐や秩父の三峯社の狼は、神の先ぶれや使いというにとどまらず、神そのものの化身あるいは眷属とさえされている。こうした動物は猿・狼・鹿・蛇から鯨・シャチまで農山漁村を通じてきわめて多い。直接姿を見せない神の意志を、身近に出没する動物のふるまいから読み取ろうとしたことが、こうした信仰を生んだと著者は説いている。
原典より
稲荷の狐や秩父三峯社の狼のように、神の先駆・使令という以上に神そのものの化身・眷属とさえなっているものもある。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。