五郎左衛門日記の呼び声
どんな伝承か
宮下の「五郎左衛門日記」に、次のようにある。天保十三年寅三月、南相木三川火打石の忠次郎の女房が、おけら掘りに行くと、幽谷から名を呼び、こちらへ来いという声がした。家へ帰ってその話をすると、きつね・たぬきのしわざだろうから明日は行くなと止められたが、次の日も隠れて出かけた。するとまた大声で呼ぶので、その方へ行くと、峰から火が降ってきて炭のように焦げ、家へ帰って死んだという。同じ日記には、大みそかの日に山仕事に行くと「みそかやあい、みそかやあい」と呼ぶ声が聞こえて、山奥へ迷い込んで帰れない、とも書かれている。古老たちは「山へ行っても正体の知れないものには返事をするな」と注意したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。