二度の呼び声と隣寺の住職の死
どんな伝承か
大正十一年春のことである。祖父と二人で留守番をしていた午後八時頃、玄関で、今晩は、今晩は、という呼び声がした。誰か来たようだから出てみろと祖父に言われ、戸を開けてみたが誰もいなかった。少しするとまた、今晩は、と声がする。祖父と二人で出てみたが、やはり誰の姿も見えない。変なこともあるものだと話していた。翌日、隣にある寺の住職が死んだと聞き、さてはあれは別れを告げに来たのかと、皆で話し合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。