森で七日間断食していた家出の少年
どんな伝承か
その年も押しつまった暮の二十日の夜、宮城県栗原郡畑岡村の太田光夫(仮名)十六歳という少年が、突然無断で家出をして帰って来なくなった。家では大騒ぎとなり、近所の人々も力を合わせて付近をくまなく探し回ったが、なかなか見つからなかった。それから八日目の二十七日になって、ようやく同村の大館という森林の中で、木の葉をかぶって七日間断食していたところを発見された。家出の原因も別になく、これも狐に化かされたのだということであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪奇集成-明治大正昭和篇(富岡直方 編著)
『日本怪奇集成-明治大正昭和篇』は、富岡直方が編んだ怪奇実話集である。明治元年から昭和七年までに各地で起きた幽霊や狐狸の怪、畸形や奇病、天変や奇瑞、世相の珍事を、当時の新聞・雑誌の記事と筆者自身の聞き書きから集めている。明治・大正・昭和の三篇に分け、話ごとに年月を掲げて通し番号を振り、新聞記事を引いたうえで紙名を末尾に添える形を基本とする。