庭に据えた奇石に憑いた女
どんな伝承か
奥州二本松に、くすりや久兵衛という男がいた。作庭を楽しみとし、草木や珍石を集めていたが、ある日、裏山でよほど年を経たと見える奇石を見つけ、早速おのれの庭に据えた。翌日、座敷から石を眺めていると霧が湧き、その中から美しい女が現れて久兵衛を取り押さえ、久しく棲んだところから引き離した罪は深いと言って扇で打ち続けた。家人が駆けつけると女は消えていた。次の夜、髪を乱した女が現れて息を吹きかけ、行燈の灯を消して青い火を噴かせ、庭のほうから、わたしをすぐ戻せ、戻さねば屋敷の者を一人残らず殺すと声がした。久兵衛は恐ろしさに石を裏山へ運ばせ、以後、女は現れなかった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
東北怪談の旅(山田野理夫・昭和49年(1974年)頃)
東北怪談の旅(山田野理夫)/飢饉の非業の死と怨念/巫女(イタコ)の口寄せ/座敷童子・河童の怪/東北各地の幽霊伝承