毒の血を吸う石と血吸川の名
どんな伝承か
血吸川は奥坂村から流れ出て高塚に至る谷川だと記す。俗説では、鬼ノ城に住んだ鬼神へ吉備津彦命が二本の矢をつがえて射たとき、一本は鬼の矢と喰い合って落ち、もう一本が鬼の胸板を貫いた。その血が流れて川になったので血吸川というが、記者はこれを妄談だと退けている。もう一つの説として、この谷川には毒の血を吸う不思議な石があり、毒血のありそうな所に当てるとしばらく離れず、毒が尽きると自然に離れる。水に浸すと毒血が薄まって石の中から出てくるという。小寺清之もその石を人から贈られて持っていたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。