北陸なまりの声を聞いた夜
どんな伝承か
語り手は母が勤めに出ていたため祖母の手で育った。昭和五十三年二月末日の夜、すでに祖母や母のもとを離れてアパートに住んでいた語り手は、五歳の夏に祖母と二人で金沢を旅した日をふと思い出した。八時頃、祖母が手縫いしてくれた新しい着物のしつけ糸を取って羽織り、まどろむようなけだるさに浸っていると、北陸なまりの祖母の声が聞こえた。そのすぐあと、母から、祖母がたったいま息を引き取ったという知らせが届く。前触れとなる病はなく、心臓発作だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。