女たちが髪の縄で引いた名号塔
どんな伝承か
名号塔にする石を山奥から引いてきたが、坂を上げるために代官所へ頼んで人足を出してもらうことにした。男たちは坂の下まであと百五十メートルほどの所で日が暮れ、疲れ果てて引けなくなり、頼んである人足に任せればよいとそのまま置いておいた。ところが寺の下まで運べなければ恥になると、女たちが自分の髪を切って縄をない、夜が明けるまでに門の下まで引き上げたという。
原典より
名号塔の石を山奥から引いてきたんだけども坂の上を上げるのに、代官所に頼んで、人足を頼んだわけだね。—— 向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異』は、民俗調査報告の第九号・第十号にあたる向原の民俗誌の上巻から、「IX 口承文芸」の章を収めたものである。昭和五十六年から五十七年にかけて向原の話者から聞き書きした昔話十一話、伝説二十四話、天狗や狐、河童、ヒトダマをめぐる世間話二十七話のほか、富士山や天気の諺と暮らしの方言を収める。昔話・伝説・世間話の節ごとに題名・分類・話者の生年・採集日の表を置き、話は土地の言葉のまま書き起こして話者名を添える。