落成法要の大雨で一晩に造った廊下
どんな伝承か
明治十五年に本堂が火事で焼けたとき、庫裏に燃え移らないよう苦心したことから、廊下を付けると火の通り道になって困るとして、廊下は設けずにおいた。ところが本堂が建ち、落成の法要を営む日に大雨となった。本山から高僧たちが訪れ、檀家も羽織袴で集まるので困り果て、本堂を建てた残りの材木で一晩のうちに廊下を造り上げた。それで一夜廊下と呼ぶようになったという。
原典より
本堂が明治15年に火事にあったから、その時庫裡を燃さないよう苦労したから、廊下をつけると火の道になって困るから廊下をつけなかったんだけども、…—— 向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異』は、民俗調査報告の第九号・第十号にあたる向原の民俗誌の上巻から、「IX 口承文芸」の章を収めたものである。昭和五十六年から五十七年にかけて向原の話者から聞き書きした昔話十一話、伝説二十四話、天狗や狐、河童、ヒトダマをめぐる世間話二十七話のほか、富士山や天気の諺と暮らしの方言を収める。昔話・伝説・世間話の節ごとに題名・分類・話者の生年・採集日の表を置き、話は土地の言葉のまま書き起こして話者名を添える。