侍に化けて通った蛇と菖蒲の毒消し
どんな伝承か
昔、山奥のある家のひとり娘のもとへ、若い侍が毎晩通ってくるようになった。娘は侍に惚れ込み、とうとう身ごもってしまう。困った親は侍の素性を確かめようと、娘に頼んで侍の着物の裾に糸を縫いつけさせた。翌日その糸をたどっていくと、蛇の穴に入っていた。途方に暮れていると、菖蒲と餅草を煎じて飲ませれば毒が下ると教える人がいた。そのとおりにすると、娘の腹から蛇の子がみな出てしまったという。それで五月の節供の菖蒲と餅草は毒消しになるので取っておくものだといわれる。
原典より
次ぐ日、その跡を糸でたどっていったらヘビの穴に入ったんだと。—— 壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史)
『壬生町史 民俗編――伝説』は、壬生町史民俗編のうち昔話と伝説の章を収めたものである。町史編さんの調査で町内の古老から集めた昔話を方言を生かして再話し、話者名を添えて動物昔話・完形昔話・笑い話・世間話に分けて並べる。伝説は吉次の墓・親抱きの松・大御堂などを動植物・歴史上の人物・塚と渕・神仏・地名に分け、地元の伝承に『郷土誌』『壬生領史略』などの文献からの引用を交えて載せ、一部の話に解説を付す。