焼火箸に責められ小蛇を吐く蛇
どんな伝承か
文政十二年の夏、江戸小石川牛天神下の武家の小者が一匹の蛇を捕らえ、焼火箸で腹を幾度も逆さに扱いて弄んでいた。蛇は苦しさのあまり死ぬ間際、口から小蛇を吐き出した。小蛇はその小者に突撃してきたので、小者は恐れて逃げ出し、朋輩が打ち殺した。讃岐高松の林で、蛇が土蔵の雀の巣を狙って昼夜十日も飛びつき続け、最後に口から小蛇を吐いて自らは落ちて死んだという話を畑老人から聞かされても信じなかった広野清介は、近隣で起きたこの出来事によって老人の話を信じるようになったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物界霊異誌(岡田建文・岡田建文・心霊研究・1927年(昭和2年))
『動物界霊異誌』は、岡田建文(蒼溟)が昭和二年に著し、郷土研究社から出した動物怪異の記録集である。二十余年にわたって集めた体験や同志の報告から、動物にまつわる怪異の事例を選び、山陰地方を中心とする明治・大正の見聞と、近世の随筆に見える記事を収める。蝦蟇・猫・河童・狐・狸と貉・外道(人狐)・蛇などの動物ごとに、解説・事例・古人の記述の順に並べ、心霊の立場からの考察を加える。