鬼婆に耳を切られた小僧
どんな伝承か
昔、道に迷った小僧が夜道を歩くうち、灯りのともる一軒家にたどり着いた。白髪の老婆が糸を繰っており、事情を話すと泊めてくれてごちそうまで振る舞った。老婆が出かけた隙に押し入れを開けると人の骨があり、小僧は命が危ないと悟った。戻った老婆に便所へ行きたいと頼むと、縄をつけて送り出されたので、縄を垣根に結んで逃げ出した。老婆が縄を引いて転んだ隙に別の家へ逃げ込み、菰に包んで吊るしてかくまってもらったが、追ってきた老婆は菰からのぞく小僧の耳を茸と見て切り取っていき、小僧は耳なし小僧になったという。
原典より
そのすきに小僧は押入れの戸をあけて見たら、人の骨があったんだって。—— 壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史)
『壬生町史 民俗編――伝説』は、壬生町史民俗編のうち昔話と伝説の章を収めたものである。町史編さんの調査で町内の古老から集めた昔話を方言を生かして再話し、話者名を添えて動物昔話・完形昔話・笑い話・世間話に分けて並べる。伝説は吉次の墓・親抱きの松・大御堂などを動植物・歴史上の人物・塚と渕・神仏・地名に分け、地元の伝承に『郷土誌』『壬生領史略』などの文献からの引用を交えて載せ、一部の話に解説を付す。