怪音の翌朝に置かれていた薬師の掛軸
どんな伝承か
北間島や堀之内には、天を舞っていた秋葉の御札が降りてきたという言い伝えがあるが、八ツ屋ではオシャモジサンの近くに薬師様が降りている。昭和四十年の旧十月九日、夜半を過ぎたころに大きな怪音がした。翌朝あらためてみると、そこに「病妙薬師如来」と書かれた掛軸と短冊が置かれていた。誰が持ってきたものか分からぬまま、これも不思議な縁だとして横井治一氏が家で守っている。近くのオシャモジサンは横井氏宅の裏庭に祀られた石で、太閤が遊んだ石だとも、関ヶ原から落ちてきた武士の墓だともいい、触れると祟るので氏神に合祀されぬままだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌)
『大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信』は、名古屋に接する尾張の大治町の民俗誌の下巻から、信仰にかかわる節を収めたものである。辻の地蔵や秋葉・津島の小祠、荒神・井戸神などムラとイエの神、天王祭り・虫送り・雨乞いなどの祈願、キツネツキ・タヌキ・天狗の神隠し・火の玉・ナンドババアの怪異を、大字ごとの聞き書きで記す。第五節から第九節までで、予兆・禁忌・まじない・民間療法を挙げる俗信の節と、高度経済成長後の信仰の変化を述べる節で終わる。