秋の夜に下りる雁を詠む漢詩
どんな伝承か
八町落雁は、関東三大堰の一つに数えられる岡堰の景勝を詠んだ「十勝」の一つである。岡堰は再三の洪水で土堰の破壊を繰り返し、明治二十年六月の小貝川の大洪水で決潰したのち、明治三十一年に現在の位置へ十二連の煉瓦堰枠を起こし、翌三十二年八月に竣工した。寺原・相馬・小文間・六郷・山王・高須・井野・取手の八か町村の水利組合が千九百八町の田を潤す。その岡堰十勝には洗堤芳・蚕飼川漁舟・大堰水声・水神夜雨・延命寺晩鐘などが並び、八町落雁もその一つで、霜の夜、秋深く凄まじい夜色のなかに雁の降りるのを闇の中に聞き知る、と漢詩に詠まれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
相馬伝説集(寺田喜久(狂花)・相馬郷土研究・1922年(大正11年))
『相馬伝説集』は、寺田狂花が著し、大正十一年二月の自序を付した下総相馬地方の伝説集である。北相馬郡の小文間・布川・取手・守谷などを中心に、平将門や一色宮内にまつわる伝承、寺社の縁起、城址や墓碑、相馬霊場の札所を記し、猿島郡・結城郡・東葛飾郡などの伝説にも及ぶ。巻頭に緒言と坂巻湖舟の序・自序を置き、「△」を付けた小項目を土地ごとに並べ、『相馬日記』『下総旧事考』などの記事を引き、相馬の俗信も書き留めている。