笊に酒を求める化物地蔵
どんな伝承か
夜が更けて町内が寝静まったころ、仲町の酒屋の戸を叩く者があった。主人が戸を開けると暗闇の中に誰かが立ち、笊を突き出して酒をくれという。笊に酒は入らないといぶかると、大丈夫だからついでくれという。言われるまま笊に酒をつぐと、不思議に一滴もこぼれなかった。それから毎晩きまって酒を買いに来るので、主人がこっそり後をつけると、普賢寺の東北にあたる地蔵堂のあたりで姿を見失った。幾晩も同じことが続いたため、地蔵さまが酒を買いに来たのだということになり、以来この地蔵は「お化け地蔵」と呼ばれて親しまれた。今は槻木内の大方家の裏に祀られているという。
原典より
夜が更けて町内が寝しずまったころ、仲町の酒屋の戸を叩くものがあった。—— 小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。