鶴を守り蛇を討った雷さま
どんな伝承か
皮籠石の熊野さまの庭は、もとは大きな池であった。池の中の島に見事な柳があり、そこに鶴が棲みついて毎年渡って来たという。来る年も来る年も鶴はその柳で卵を産み子を育てたが、悪い蛇がそのたびに卵を食ってしまい、一羽も育たなかった。それを聞いた雷さまがたいそう怒り、三十三回も落ちて蛇を退治したと伝わる。いまの村社である国治神社の祭神は、本当はその雷さまだといわれ、そのあたりの字名を鶴庭というのも、毎年鶴が来て巣を懸けたことから出た名だという。
原典より
皮籠石の熊野さまのお庭は、もと大きな池だった。—— 小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。