射られた鴛鴦の夢枕の歌
どんな伝承か
昔、この地が田村郡小野庄赤沼と呼ばれたころ、ウマノスケという猟師がいた。ある冬の日、狩に出たが獲物がなく、夕方赤沼のほとりに来ると葦の間に二羽の鴛鴦が浮いていた。ウマノスケは一羽を射殺し、羽をむしって酒の肴にして寝てしまった。その夜、美しい女が枕もとに立ち、「日暮るればさびしきものを赤沼のまこも隠れの一人寝ぞ憂き」と詠んで消えた。朝、庭に出ると雌鳥が自分の腹を嘴で刺し、雄鳥の羽毛を抱くようにして血だらけで死んでいた。ウマノスケは哀れんで一緒に葬り塚を建てた。そこを今も羽埋塚と呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史・自治体史(民俗))
『小野町史 民俗編』第九章所収の伝説。福島県田村郡小野町に伝わる口承を採録する。