三武士の首が海上で火を吹く巴が淵
どんな伝承か
『桃山人夜話』によれば、寛元のころ、鎌倉の小三太・又重・悪五郎という三人の武士が伊豆の真鶴ヶ崎で言い争い、ついに刀を抜いて斬り合った。悪五郎がまず小三太の首を取って又重を追ったが、つまずいて倒れたところへ又重が組みつき、二人は互いの首を打ち落とし合った。以来、この三人の首が夜ごと海の上に現れて火を吹き、巴の形の波を立てたので、そのあたりは「巴が淵」と名づけられたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。