引き分けとなった両村の石投げ
どんな伝承か
府中市府中の八つ尾城と新市町相方とは、村どうしで争ったことがある。弓矢では勝負がつかないので、石を投げ合って力比べをすることになった。両方の村から出た力自慢が投げた石は、どちらも田の中に落ちた。二つの石は十間ほど離れていたが、投げた距離は同じだったので、勝負なしの引き分けとされた。その後もこれらの石にはしめ縄が張られ、触れると祟りがあるといわれる。八つ尾側の石は法楽寺の境内に祀られている。投げ合って落ちた石は村や地域の境の印で、誰も触ったり動かしたりしてはならないものとされていた。
原典より
この石は、その後もしめ縄をはってあり、触れれば祟りがあるという。—— 広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
広島県史 民俗編――伝説の分布(広島県(編)・広島県史)
『広島県史 民俗編――伝説の分布』は、広島県が編んだ県史民俗編のうち、「休養と娯楽」の部に置かれた「伝説の分布」の章である。八幡信仰にかかわる聖蹟伝説や炭焼長者、厳島をめぐる石神やうつぼ船の伝説、和泉式部・虎御前・菖蒲前を語り歩いた巫女の伝説、人柱や竜蛇の伝説などを、『芸藩通志』『福山志料』などを引いて論じる。「八幡信仰の流れ」「厳島伝説の周辺」「巫女と伝説」「県北の伝説」の四節からなり、伝説の名を見出しに立てて所在地とともに述べる。