荘内半島の浦島太郎と紫雲出山の由来
どんな伝承か
家の浦の与作という男が、仁老浜のおしもを嫁にむかえた。その子が太郎で、生里の浦で漁師をしていた。家の浦から鴨の越へ行く途中、子供たちが大亀をいじめているのを見て、金を出して買い取り、酒をのませて海へ逃がしてやった。のちに亀石の上で釣をしていると大亀が現れ、背中にのれという。竜宮城で乙姫のもてなしを受け、金の輪と玉手箱を土産に帰ったが、途中で潮に流されて積浦の岩端へ上陸し、金の輪は海へ流してしまった。そのあたりを金輪の鼻と呼ぶ。家では帰らぬ太郎の居なくなった日を命日にしていた。三年目に大亀の死体が粟島へ流れついたので、太郎は島へわたって葬った。それが今の詫間町の亀戒神社だという。もどるすべを失った太郎が玉手箱を開くと白い煙がたちのぼり、紫色の雲となって山へあがった。紫雲出山の名はここから起こり、太郎は白髪の老人となってしまった。中腹の上天というところで昇天したといい、今は竜王を祀ってある。
原典より
家の浦の与作という男が仁老浜のおしもを嫁にむかえた。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。