早乙女が渡れぬ田ワタラズノアゼ
どんな伝承か
作れば必ず凶事があるという田畑は各地にある。土佐の高岡郡ではこれをカンバタと呼ぶ。最上郡舟形町にはワタラズノアゼという田があり、田植えの日にはここだけ注連を張って、早乙女に畦を渡らせなかった。この田を植える日には必ず雨が降るという奇瑞も伝えられている。ほかの土地では、この種の田をヤマイダ、クセダなどとも呼ぶ。三河や遠江の山村には人が持つのを好まないトシ山があり、駿遠の山間にはクセチと呼ぶ林野があって、そこの山畑を開いたり藪を切ったりすると必ず不幸があるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。