大山茶湯寺の百ヶ日参り
どんな伝承か
葬式のあとの供養は七日ごとに重ね、四十九日で忌が明けるとするのが広くみられるが、土地によっては百ヶ日を大きな供養の日とする。『埼玉の民俗』でも、この点に触れた二十地区のうち六地区がそうだった。その日の営みも、読経だけの所、墓参と塔婆の所、忌明けとして近親を招く所とさまざまである。伊勢原市に入る大山には茶湯寺がある。石畳の坂を少し登った左手に寺名を刻んだ碑が立ち、小径をたどって川を渡ると寺で、奥の本堂に極彩色の寝釈迦像を安置する。『新編相模国風土記稿』は、近在の農家に死者が出ると百ヶ日の日に不動へ参り、法名を記してこの寺で茶湯を供えるゆえの名だと説く。戦後の合併で涅槃寺と改めた。
原典より
新刊紹介——宮本馨太郎著『めし・みそ・はし・わん』 民間伝承三七——三 11月呪の有効性 西郊民俗六五 12月昭和四十九年(一九七四)両墓制の成因について 西郊民俗五八 1月 →葬送墓制研究集成四(最上編 名著出版) 昭…—— 霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。