梶寄部落の犬神告訴と裁判沙汰
どんな伝承か
大分県では犬神をめぐる事件が裁判沙汰にまで発展することが少なくなかった。南海部郡東中浦村の梶寄部落では、大正十年に犬神のことがもとで告訴にまで及んだ大事件が起こっている。さらに昭和七年にも、同じく裁判沙汰になった事件があった。この地方では持ち筋のことを犬神持ちともいうが、むしろ「犬神使い」という語を多く使う。犬神は女から女に伝わり、婿の場合にはついて行かないともいわれていた。
原典より
南海部郡東中浦村梶寄部落では、大正十年にこれがもとで告訴までした大事件が起こったが(民族と歴史八の一所収)、昭和七年にも裁判沙汰になった事件があった。—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。