上田某の城山の白米城伝説
どんな伝承か
埼玉県の松山の近くには、昔、上田某という武士の城山があったという。この城が囲まれて籠城したとき、水の手を断たれてしまったので、城方は白米を水に見せかけ、白米で馬の脚のあたりを洗って攻め手を欺いたと伝えられる。柳田国男が史実と伝説の関わりを考えるうえで注目した白米城伝説の一例で、当初は類例が少なく、土地の人々は記録に残らなかった歴史と信じていた。のちの研究で、同じ型の話が青森から九州まで百例を超えるほど広く分布することが分かったという。
原典より
その一例をあげると、埼玉県松山の付近に、昔上田某という武士の城山があり、ここで籠城をした折に、水の手を切られたので、白米を水とみせかけ、白米で馬の裾を洗い、寄手を欺いたという伝説である。—— 神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話(中村亮雄(「伝説と昔話」)・神奈川県の歴史)
『神奈川県の歴史 県史講座要録――伝説と昔話』は、県史講座要録の県下の民俗篇に収められた、中村亮雄の「伝説と昔話」である。柳田国男の白米城伝説の研究を手がかりに、三浦半島の二反ヶ城、鶴見の見返し坂、湯河原の石橋山合戦の伝承など県内の伝説を取り上げる。昔話は本格昔話と派生昔話(化物譚・笑話・動物昔話)に分け、藤沢・津久井・平塚などの類話を並べて世間話にも触れる。「はじめに」「伝説」「昔話」「あとがき」の四節からなる。