慈覚大師が岩に彫った一念峰の三尊像
どんな伝承か
上郷にある一念峰は、奇岩怪石の並ぶ景勝の霊地で、慈覚大師の開山と伝える。霊地を求めて訪れた大師が麓で一夜を明かしたところ、山手に不思議な光が見えた。登ってみると不動明王・観音・阿弥陀如来の三尊が立っており、伏し拝んでから顔を上げると、その姿は跡形もなく消えていたという。大師は自ら岩を刻んで三尊の像を残し、この地で一年の行を積んだ。のちに北へ向かって山寺を開いたと語られる。峰には幕岩・獅子岩・屏風岩・護摩壇岩など行跡にちなむ岩の名が並び、小山寺とも呼ばれ、十月十六日には村人が集まって祭りを営む。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。