狐に憑かれた男が語る炉ばたの狐
どんな伝承か
川和では、狐に憑かれた人の話がいくつか残る。五、六十年前のある男は、狐に憑かれて梁に手でぶら下がって歩いたという。二十年ほど前に亡くなった別の男も狐に憑かれたが、のちに治ってからその様子を語った。狐が自分と並んで炉ばたに座っていても、それを口に出すことができない。何か食べたいと思っても狐が先に食べてしまうのに、周りの人には本人が食べたように見える。すぐそばに狐がいても、ほかの人の目には見えないのだという。
原典より
狐が一緒に炉に座っているが、それを口に出すこともできない。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書)
『群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異』は、上野村で行われた民俗調査の報告のうち、聞書と俗信の部分を収めたものである。川和・住居附・野栗・奥名郷・勝山・野栗沢などで聞いた講、病気の呪い、雨乞い、禁忌と兆、山の神とオコジョ、オサキや狐つき、狐やむじなに化かされた話、一ツ目入道や山姥を、話者や部落名を添えて記す。上野勇の聞書と、昭和二十三年に東部の部落を調べた関口正の報告が入り、井田安雄の「乙父の民俗」は書き出しだけが載る。