蔵の穴を塞がれて怒る狐憑きの女
どんな伝承か
野栗沢では、万場から来た女が近ごろ狐に憑かれた。その家の蔵に穴があいていたので、草平という人が草を差しこんで塞いだところ、女は狐の口ぶりで、自分の出入りする穴を塞いだ、草平はけしからん奴だと言ったという。狐に憑かれた者は豊川稲荷で「封」をしてもらうとおとなしくなるが、十年か十五年ほどで期限が切れると、また症状が出てくる。封をしてもらうと狐に餌をやることになるので静まるのだといわれる。
原典より
その家の蔵に穴があいていたので草をさしこんだら、女は「俺の出入する穴をふさいだ。草平はけしからん奴だといった。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書)
『群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異』は、上野村で行われた民俗調査の報告のうち、聞書と俗信の部分を収めたものである。川和・住居附・野栗・奥名郷・勝山・野栗沢などで聞いた講、病気の呪い、雨乞い、禁忌と兆、山の神とオコジョ、オサキや狐つき、狐やむじなに化かされた話、一ツ目入道や山姥を、話者や部落名を添えて記す。上野勇の聞書と、昭和二十三年に東部の部落を調べた関口正の報告が入り、井田安雄の「乙父の民俗」は書き出しだけが載る。