龍が昇った堂々渕のけんずり穴
どんな伝承か
尻高の堂々渕のほとりには石宮が建っていて、かつては毎年五月五日に祭りをした。神主に拝んでもらい、石宮に赤飯を供えてから、ホカイに入れた赤飯を渕へ納めて、その年の平穏無事と五穀豊穣を祈った。渕には大きな龍が住み、たびたび天へ昇ったという。昇るときは尾で岩を掘って勢いをつけたので、岩には大きな穴があき、穴の中にはいつも二つの玉が入っていた。いつの頃か玉は盗まれ、今はけんずり穴と呼ばれる穴だけが残る。雨乞いのときにも神主を頼んで石宮の前で拝み、村の人々が加わった。
原典より
天にのぼるとき、勢いをつけるために尾で岩を掘った。—— 高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書)
『高山村の民俗――昔話』は、群馬県民俗調査報告書の第二十一集から、年中行事の末尾と「口頭伝承」の部を収めたものである。口頭伝承は昔話・伝説・世間話の三つに分け、桃太郎・蛇婿入り・食わずの女房などの昔話、弘法の投筆や椀貸の渕・小太郎渕の伝説、怪力の馬之丞やアズキトギ・見越シ入道・かくしばあさんの世間話を載せる。各話の末尾には、中山字原・尻高字熊野・北之谷などの採録地と話者を添える。