弟の戦死の知らせを前に沈んだ心
どんな伝承か
堀さらいで皆がセリをたくさん摘んでいた日、その人はなぜか気持ちが沈んでいた。友人に迦葉山へ行こうと誘われても返事をする気が起きず、腹を立てた友人に明日はお陀仏の支度かと皮肉られても、言い返す気力さえなかった。家の近くまで戻ると従兄が待っていて、弟が戦死したと知らされた。弟は昭和十七年四月十一日に戦死しており、母が大切にしていた子であった。不思議なことなので、今でも忘れられないという。
原典より
家の近くにくると、従兄が待っていて、弟の戦死を伝えた。—— 高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話(群馬県民俗調査報告書 第20集・群馬県民俗調査報告書)
『高崎市東部地区の民俗――伝説・昔話』は、『群馬県民俗調査報告書』第二十集『高崎市東部地区の民俗』のうち、口頭伝承の章である。榛名湖に入って蛇となった木部姫、弘法大師の七つ井戸、慈眼寺近くの餓鬼坂、オサキ使いの家などの伝説と、うばすて山や和尚と小僧、火の玉や死の予兆の体験などを、話者の地区名を添えて収める。伝説・昔話・命名・諺の項に分け、村の姓やあだな、農事や天気にかかわる諺も採録している。