火事に水を吐いた誠照寺山門の龍
どんな伝承か
本町三丁目の誠照寺の山門には、紅梁の南北の両端に龍の彫刻がある。江戸時代の名工、二代目左甚五郎の作と伝え、本山十五代秀誠上人の代から残るものという。この龍をめぐって奇怪なうわさがたびたび立ったので、両眼を取り除いたとされる。見とれて日が暮れるのも忘れるほどの出来で、北陸の日暮らしの門、鳥棲まずの門とも呼ばれた。文久二年十一月五日の夜半に火事が起こり本山の両堂や庫裏が焼けたが、山門は鐘楼堂や太鼓堂とともに焼け残った。消火の水の便が悪かったのに境内には膝まで水があふれ、山門の龍が水を吐いたのだと古老は語っている。
原典より
山門紅梁の南北両端に龍の彫刻がある。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。