身代わりの老母が磔にされた狼谷の岩
どんな伝承か
現在は県道の拡張と土地改修で昔の面影はないが、中戸口と上戸口の境は、俗に「おかめだん」すなわち狼谷と呼ばれ、気味の悪い坂であった。天正の昔、朝倉義景が織田信長と戦ったとき、上戸口の太郎という者が朝倉方の武人足として出陣し、旗もちを勤めたが、戦いの途中で旗を捨てて逃げ帰った。朝倉方は敗因を太郎のせいとして追手を差し向けたが行方は知れず、家に残る老母が「若い者を殺すのは忍びない」と身代わりを申し出て、この狼谷の岩のところで磔に処せられたという。いつからか「ばばはじけ」と呼ぶが、「ばばはりつけ」の転訛と思われる。
原典より
現在は、県道の拡張と土地改修で、昔の面影を残していないが、中戸口と上戸口の境は、俗に「おかめだん」(狼谷)と呼んで気味の悪い坂であった。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。