水白の墓松と関東大震災の前兆
どんな伝承か
水白の村はずれにある水田家(ニショモサ)の墓地には、大坂の陣で手柄を立てた先祖の墓じるしとして植えたと伝わる大松があり、墓松と呼ばれていた。地面すれすれまで垂れた下枝が地に着けば、世の中がひっくり返るほどの大事が起きると村では言われていた。大正十二年の関東大震災の日の正午ごろ、その枝が大きな音とともに裂けて地に着き、その直前に墓のあたりから白いものが遠くへ飛び去るのを見た者もいたという。松は終戦の昭和二十年八月ごろから枯れはじめ、祟りを恐れて地元の誰も伐ろうとしないので、金沢から木挽きを呼んで伐らせた。年輪は三百五、六十年を数えたと伝わる。
原典より
その言葉通りというか、大正十二年の関東大震災の折やっだが、ちょうど正午頃、バリバリッという、大きな音と共に、その垂れ下がった枝が、幹から裂けて、地面についてしもうた。—— 鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鹿島町史 通史・民俗編――伝説(鹿島町(編)・鹿島町史)
『鹿島町史 通史・民俗編――伝説』は、鹿島町の町史通史・民俗編のうち、昔話と伝説の節と、続く「俗信と俚諺」の冒頭を収めたものである。石動山麓と邑知地溝帯の集落で聞いた話を、芋掘り権兵衛や屁売りじいさなどの昔話、亀塚や椀貸穴などの自然伝説、初瀬の観音様や井田の不動滝の信仰伝説、久江の道閑や村境を決めた話の歴史伝説に分け、在所名を添えて載せる。伝承の状況や語り始めと結びを述べた解説を前に置く。