眼病を癒やした貞保親王と王湯
どんな伝承か
鹿沢温泉は孝徳天皇の白雉元年に見つかったと口碑に伝える。清和天皇の皇子貞保親王が管絃の司として高台にあったころ、燕の害によって眼を病み、ひどく苦しんだ。あるとき夢に霊泉のあることと、それが眼病を治すことを告げられ、この地を訪ねて湯に浴したところ眼はすっかり癒えた。親王は大いに喜び、冬は信濃の祢津村で過ごし、夏はこの湯で暮らして、ついに都へは帰らなかったという。共同湯を王湯と呼ぶのは親王にちなむと言い伝えるが定かではない。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。