毒酒を告げた遊女てる姫と小栗小次郎
どんな伝承か
小栗が三河へ落ちのびたのち、その子小次郎は関東に身をひそめていた。相模の権現堂で宿を借りたところ、そこは強盗どもの巣で、常陸の富者の身内なら宝を持っていようと殺害を謀られる。従者が屈強なので、毒を入れた酒で殺そうという策になった。宴の酌に立った、てる姫という遊女は小次郎に情を通わせており、そっと危険を告げた。小次郎は呑むふりをして酒を口にせず、酔い伏した従者を残して林へ出、盗人が繋いでいた荒馬に乗って藤沢の道場へ逃れた。てる姫も酔ったふりをして川に流されたが助かり、のちに小次郎が探し出して報い、盗人らを討ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。