鉈を追って竜宮へ行った阿感坊
どんな伝承か
宮子の前原に住む斎藤氏の先祖は信心の厚い人であった。ある日、竜宮島のところへ藤の蔓を切りに行き、誤って鉈を川へ落とした。鉈が水の中に見えるので拾いに入るうち、しだいに深みへ入り、とうとう竜宮へ行き着いた。三日いたつもりが三年が過ぎており、家では三年忌を営んでいた。この人が竜宮本記に見える阿感坊だといい、乙姫から観音・瑪瑙・玉手箱の三品を授かって帰ったという。阿感坊は殿様に責められ、口を開こうとしたその場で亡くなった。その後、太い蛇が二匹雲に乗って竜宮と斎藤家の間を行き来したと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。