おかめ磯の海底に見た竜宮
どんな伝承か
芝山の沖にあるオカメ磯の下には竜神がいて、汚すとたちまち嵐になると伝えられ、日照りの年に沖浜の百姓が葬式のまねをして雨を呼んだこともあった。寛政の末、若者たちが海人の案内で磯にもぐると、海人が浮かんでこない。探しにもぐった一人は、顔と胸が白く背や手足が瑠璃色の法師姿のものを見て逃げ帰った。四時間ほどして浮いた海人は、海底で光る大きな白玉と楼門のような岩屋を見て竜宮かと思い引き返したと語ったという。
原典より
「よし、おれが探して来る」と一人が四ひろ(六メートル余)ほどの海底へもぐって行くと何だか人間らしいものが見えるので、…—— 阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
阿波の怪談(横山春陽・郷土怪談・民俗・1958年(昭和33年))
『阿波の怪談』は、横山春陽が昭和三十三年に編み、徳島新聞出版部から発行した郷土の怪談集である。徳島県の各地と土佐との国境の山中に伝わる山女郎、淵や池の主、カッパ、亡霊、火の玉、タヌキやキツネ、大ジャの話を、平安朝の言い伝えから藩政期、明治・大正、昭和の出来事まで、編者が古老に聞き、書物から拾って題ごとに並べる。おわりにでカッパやヘビの話の多い地域や海の話の少なさについて記す。