万代池の島に幽閉された半蛇竜神
どんな伝承か
大正九年十月十四日、浅野和三郎は岡本信之を霊媒に、記者ら十人ほどと自動車で万代池へ向かった。池の西寄りには木の茂る小島があり、農夫は蛇さんのお島だと言った。池畔の漁師小屋で浅野が審神者となって池の主を招くと、岡本は平伏して半蛇竜神と名乗り、半分竜で半分蛇の醜い姿となり、二千年あまり前に罪を犯してこの島に押し込められたと泣いた。黒い悪神に誘惑された罪だと明かし、雨を呼んで天に昇ること、池で人を死なせてきたことも語り、大神へのお詫びの取り次ぎを頼んだという。
原典より
初めは大神さまにお仕えして、ご用を承っておりましたが、過って罪を犯し、今から二千年あまり前、これなる島に押し込められ・・・・・・—— 日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本神異見聞伝(笠井鎮夫・1974年(昭和49年))
『日本神異見聞伝』は、笠井鎮夫が昭和四十九年に著した霊異の見聞記である。第一篇では、大正期に大本で鎮魂帰神を受けた著者が、霊媒による死者の招霊や狐霊・竜神の託宣、霊石の発掘などを研究会での語りの口調で伝える。第二篇では、慶応三年のええじゃないかのころ尾張・遠江・駿河・美濃・丹後などで起きたお札降りを、旧家の古文書や郷土史家の便り、著者の現地調査から記録している。