手を返した河童が教えた芹沢家の薬
どんな伝承か
玉造の芹沢城主であった芹沢隠岐守俊幹が領内を見回って帰ろうとすると、馬が動かなくなった。見れば十二、三歳ほどの断髪の化け物が馬の尻尾をしっかり掴んでいる。曲者と見た隠岐守が刀の鞘を払うと手応えがあり、厩へ入れようとして尻尾を確かめると、人のものではない片手が切られたまま掴んでいた。珍しいので床の間に掛けておいたその夜、門をたたく音に起こされる。このあたりに住む河童が、先ほどの悪戯で落とされた手を返してほしい、返してくれるなら切れた手をつなぐよい薬を教えると申し出た。この由来によって、芹沢家には河童の傷薬と筋のばしの薬が伝わっているという。
原典より
昔、玉造の芹沢城主であった芹沢隠岐守俊幹が、領内見廻りをし、帰館しようとしていると、馬がうごかなくなった。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。