大蛇の子を産んだ野々平の馬
どんな伝承か
中戸川の野々平には昔、五、六軒の農家があった。昼のうち馬を山へ放し、夕方に追って帰る暮らしで、野々平の馬は毎日のように名馬里が淵へ出かけて遊んでいたという。やがて淵に棲む大蛇と馬の間に子馬が生まれた。その子は乳を飲んで腹がふくれると、厩の出入口に渡した厩栓棒の上へ上がって昼寝をしたので、飼主は気味悪がって殺してしまった。その晩、屋敷の裏の瀬とが沢の水が増し、家はすべて流されたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。