十を千に直された山の証文
どんな伝承か
昔、伝教大師が丹波にいたころ、山の仙人から十年の約束で山を借りた。この仙人こそモックリコックリである。十年が過ぎて約束どおり山を返さねばならなくなったとき、大師は返さずに済む工夫はないかと亀に相談した。亀は、十の字の上に点を一つ書けば千の字になると教えたので、大師はさっそく十を千に直した。約束の日、書類を一度改めてみようと箱を開けると、十が千になっている。モックリコックリは開いた口がふさがらず、山を取られて行き場を失い、やむなく雄島へやって来たのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。