悪僧東尋坊の霊が化した風
どんな伝承か
越前の三国あたりでは、旧暦の四月ごろになるとトウジンボーという風が吹く。昔、東尋坊という悪い僧を殺したことがあり、その霊が風に化したためだと言い伝えられている。著者は、柳田国男によれば北陸から北の日本海岸一帯で西北風をタマカゼと呼び、タマは霊魂を指すので悪霊の吹かせる風の意だと紹介し、悪霊が風になる、あるいは風を吹かせるという話の一例としてこれを挙げる。竜田・広瀬の両社が都の西北に置かれたのも、悪風が西北から来るためだと説明されている。
原典より
これは、昔、東尋坊という悪僧を殺したことがあったが、その霊が化して風となったからだと伝えている。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。